マーケットを広げるという発想

 

 

この仕事を通して、多くの院長に面談をすると、ほぼ全員が、

 

 

「最近は、不景気な上に、ライバルが増えて競争が大変だ」

 

 

と言われます。確かに、治療院のように店舗型ビジネスの場合だと、

商圏は、通販などと違って、ある程度、限られてきます。

商圏が、距離によって制限されている治療院という職種で、ほんの200メートル先に、新たにライバル店がオープンした場合などは、院長が不安になる気持ちも良く分かります。

 

以前、私が、集客のお手伝いをしていたある整体院でも、200メートルどころか、その整体院から、ほんの20メートル先の場所に、新たに接骨院がオープンして、驚いた経験があります。

 

それでも、私は、この仕事を通して、多くの院長にお会いする中で、ほとんどの院長は、物事の片面しか見ていないのでは?と感じてしまいます。

つまり、大多数の院長が、

 

 

「治療院のマーケットそのものは、固定されていて、その限られたマーケットの中に、毎年、多くの競合が参入してくるので、マーケットは縮小するだけ」

 

 

という内向き発想に、陥っている気がします。

私は、このような消極的な思考ではなく、

 

 

「そもそも、治療院のマーケットそのものは、更に、いくらでも広げることが可能だ」

 

 

という発想に切り替えることが可能だと思います。

これは、単なる根拠のないポジティブシンキングでなく、他業種で、既に

実践されていることだし、治療院でも充分可能だと思います。

 

では、まず「マーケットそのものを広げる」ことに成功した他業種の例として、コカコーラを紹介します。

 

コカコーラは、ご存知のように世界でNo1の飲料会社であり、既に100年以上の歴史があります。

更に、オリンピックやワールドカップの公式スポンサーになっている程、

知名度のある会社です。

 

正直、コカコーラほど完成された会社ならば、別に、これ以上のマーケティング活動なんか必要ないのでは?と、私は考えてしまいます。

それでも、コカコーラには、そのような慢心もなく、飲料マーケットを、更に広げようと、様々なマーケティング活動を展開しており、その努力には心からの敬意を表したいです。

例えば、現在、自販機、コンビニで売っている商品に、コカコーラゼロと

いう飲料があります。

私は、何が、コカコーラと違うのか興味を持って、調べたことがありますが、糖分が0グラムなので、コカコーラゼロの名前だと分かりました。

 

更に、最近、コカコーラゼロフリーという飲料もありますが、こちらは、糖分だけでなく、カフェインも0グラムなので、この名前になっていると

分かりました。

もちろん、糖分、カフェインの含まれている既存のコカコーラのマイナスイメージを、消費者に想起させないように、糖分ゼロ、カフェインゼロなどは、目立ちすぎない形で表現されています。

結果、それぞれのイメージを損なうことなく、3種類のコカコーラが、現在

自販機などで販売されていますが、見事なバランス感覚です。

 

他業種の事例として、コカコーラのケースを挙げましたが、治療院では、2つの側面から、マーケットを広げることが可能だと思います。

1つ目は、ネットの普及による潜在マーケットの拡大に目を向けること。

2つ目は、相手の自尊心に訴えるマーケティング手法を取り入れることです。

 

 

まず、分かりやすいのがネットの普及に伴う現象です。

パソコン、携帯、スマートフォンなど急激なIT機器の浸透で、パソコンなどの画面に向かう時間は、誰もが増えています。

私も、パソコンをメルマガの連載などで、本格的に使い始める前は、特に目が疲れることも無かったのですが、今は、眼精疲労の施術で、不定期で

治療院にいくほどです。

 

これだけパソコンなどのIT機器が、急激に個人に浸透した現在は、その点

昔よりも、眼精疲労の施術で、治療院を必要とする見込み客は、相当、増えているはずです。

治療院にとっては、IT機器の普及による急激な、潜在マーケットの拡大は

チャンスですが、どうも、この点では、マーケティングに力を入れている

所は、少ないようです。

 

2つ目は、「相手の自尊心に訴える」という方法で、マーケットを拡大する

ことです。

私の経験を挙げれば、毎回、眼精疲労の施術で来店後、すごく気分が良くなるのですが、最初は、単純に、施術を受けて体調が良くなったからだと

思っていました。

ところが、ある時、別の重大な側面を発見しました。

それは、今の自分は、健康を維持する為に、お金をつかえることに、満足

していたことに気付いたのです。

 

つまり、健康維持の為に、お金を投資している現在の自分に、健全な自尊心や体に対するいたわりの気持ちを感じていたから、私は施術後に、気分が良くなっていることに、改めて気付きました。

このように、

 

「自分の体の健康維持の為に投資するのは、尊いことだ」

 

というアピールは、カーブスなど、一部のフィットネスクラブで先行している方法です。

治療院でも、このマーケティング手法は、そのまま取り入れることが可能なはずです。

現に、私が子供の頃は、お金を出して水を買っている人など、周囲には誰もいませんでした。

ところが、今では、水道水をそのまま飲む人の方が、少数派です。

このような価値観の転換は、いくらでもあるので、治療院でも、マーケットを広げる意味でも、充分可能なはずです。