5つの傾向

 

 

 

私が現場を回る中で発見した、治療院で、2012年以降に、確実に起こるはずの5つの傾向について、説明します。

 

5つの傾向は、下記の通りで、この中には既に現実に成りつつある現象も

含まれています。

 

 

 

1)保険が適用される接骨院などが減り、今後、実費負担の治療院が増える

 

 

 

2)整体院と接骨院など、業界同士の競争でなく、全くの異業種もライバル

  となる「仁義無き戦い」が、激化する

 

 

3)今まで、あいまいだった「治療系」「マッサージ系」の区別化が加速す

  るようになる。

  また、今後は、技術系かマッサージ系の分離が、あいまいな治療院の

  集客は、苦しくなる

 

 

4)パソコン、スマートフォンなどのIT機器の更なる普及で、今後は、

  テクノストレス系の症状で来院するお客様が増える

 

 

5)腰痛など、痛さが我慢できなくなってから来院するスタイルでなく、

  今後は、痛みが悪化する前に、予防として来院するメンテナンス型の

   来院のお客様が増える

 

 

では、下記に5つの傾向の解説を載せます。

 

 

 

 

1)保険が適用される接骨院などが減り、今後、実費負担の治療院が増える

 

 

解説)

既に、保険から実費負担の流れは、始まっていますが、この傾向は今年も

続くはずです。

より正確には、少子高齢化、日本経済などマクロの要因を考えれば、

これから、保険治療が増えることはありません。

現在、保険で運営している院も、最終的には、整体、カイロプラクティック院などのように、全て実費負担での施術の提供を視野に入れたほうが良いと思います。

 

 

 

 

2)整体院と接骨院など、業界同士の競争でなく、全くの異業種もライバル

   となる「仁義無き戦い」が、激化する。

 

 

解説)

治療院に限ったことではないですが、今後、異業種同士による「仁義無き戦い」は、ますます激化することが予想されます。

 

例えば、今や誰でも持っているケータイが普及することで、腕時計を買わなくなる人が増えました。

現に、私も、ケータイで時間が分かるから、腕時計を持ってないという

20代の人に会ったことがありますが、かなり衝撃的でした。

これは、時計業界では、全く予想していなかった出来事です。

 

更に、このような「異種格闘技戦」は、従来は考えにくかった業態でも、

発生しています。

昨年、私がある経営コンサルタントのセミナーに参加して聞いた話ですが

最も過激な例として、ある引越し業者は、単身世帯に限って無料で!引越しを提供するサービスを始めたそうです。

 

なぜ、ただで引越しサービスを提供できるのか?

実は、この会社はNTT系列の光回線の代理店で、引越し後は、NTT系のプロバイダーに加入するのを条件に無料で引越しを手掛けるそうです。

 

治療院業界も、この流れとは無縁ではいられません。今後は、隣の接骨院や整体院だけがライバルという狭い認識は、捨てた方が良いと思います。

 

実例として、昨年、私がこれは治療院には怖い存在だなと気付いた異業種

のライバルが、女性限定(しかも、利用するのは、ほぼ、おばさんだけ)の30分フィットネスクラブ「カーブス」です。

 

最近は、駅前にカーブスがオープンすることも増えたので、既に知っている院長も多いでしょうが、このアメリカ発のフィットネスクラブは、非常にユニークなメニューで展開しています。

 

私も、カーブスについては、関連書籍を色々読みあさって調査しました。

その中の1冊「ストーリーとしての競争戦略」に、カーブスについて詳しく

解説されています。

記事によると、カーブスは、2010年の時点で、世界1万店舗、日本でも既に

750店も展開しているとのことです。

値段も従来のジムの半額、トレーニングメニューも30分のみと特徴がありますが、カーブスの最大の売りは、トレーナーも含めて女性のみで、男性は入れないことです。

 

男性が一人もいないから、気軽にエクササイズが楽しめるとのコンセプトですが、私が見る限りカーブスは、日本ではもっと出店することが可能で

このマーケットは、更に成長する可能性があります。

値段が安くて、女性会員のみで、健康維持の為に手軽にエクササイズ出来るジムが増えるのは、結果として、治療院業界の競合ともなります。

 

カーブスの例のように、治療院業界でも、全く予想もしていなかった業界がライバルになることは、今後も、ますます増えることが予想されます。

 

 

 

 

 

 

3)今まで、あいまいだった「治療系」「マッサージ系」の区別化が加速

  するようになる。

  また、今後は、技術系かマッサージ系の分離が、あいまいな治療院の

   集客は、苦しくなる。

 

 

 

解説)

私が、この仕事を通して感じるのが、とにかく施術がメインなのか?それとも、マッサージが主体なのかが、外から見ると良く分からない院が本当に多いということです。

 

これは、お客様にとっても困ることで、施術が中心の院だと思ったらだたのマッサージ店だったなどの経験は、非常に腹立たしいことです。

 

治療院の未来を考えると、今後は、このような院の特色が何か良く分からない所は(当然のことですが)、ますます集客が苦しくなると思います。

 

今までは、施術/マッサージの境界線があいまいだった院も今後は、きっちりと、施術系/マッサージ系と二極化されていくはずです。

まだ、自院の特徴を、ハッキリと施術系/マッサージ系と分けてない所は、

早い内に、どちらか一つの系統に決めることをお薦めします。

 

 

 

 

 

4)パソコン、スマートフォンなどのIT機器の更なる普及で、今後は、

   テクノストレス系の症状で来院するお客様が増える

 

 

 

解説)

既に、パソコンなどのIT機器は、充分、個人に浸透していますが、技術革新のながれは、止まる気配がありません。

例えば、ケータイから、スマートフォンへの買い替え、近い将来ケータイは全てスマートフォンに置き換わるはずです。

或いは、Fcebookのようなソーシャルメディアも、2011年の大震災を経て

「絆」というキーワードから、益々、発展していくはずです。

 

これだけ、IT機器が急速に社会に浸透すると、今度はテクノストレス系の症状で治療院に来院するお客様は、相当増えるはずです。

ただし、この点に関して、ほとんどの治療院の院長は何も、

 

「これは、新しい商機だ!」

 

と認識できないことが、私にはとても残念です。

例えば、今、私はパソコンを使っていますが、先月JINZというメガネ店で

購入したパソコン作業専用のディスプレイ上の光を、半分カットする度の

付いていないメガネを付けています。

 

これは、以前、新聞の広告でパソコン専用のメガネの存在を知って、早速購入したものですが、今では、メガネ無しでパソコンの画面を見るのは、

考えられない程です。

 

このように、他業界では、世の中の変化に商機があると気付いてそれに合った商品(サービス)を展開しています。

ところが、私が過去に見てきた中では、この現象に対し専用の施術メニューを提供している院が、殆どないのが非常に残念です。

 

 

 

 

 

5)腰痛など、痛さが我慢できなくなってから来院するスタイルでなく、

   今後は、痛みが悪化する前に、予防として来院するメンテナンス型の

   来院のお客様が増える

 

 

 

 

解説)

正確に言うと「今後は、メンテナンス型の客が増える」というのは、予測ではなく、私自身の願望でもあります。

色々な治療院を見てきて思うのが、本格的な施術が中心の治療院ではまだ

 

 

「痛くなる前に、予防としてメンテナンスで来院しよう」

 

という情報発信が、足りない気がします。

 

「とりあえず、痛みは治まったのですが、今度は、いつ来院すれば良いのですか?」

 

と逆に聞いてくることもあるそうです。

 

院長の中には、

 

 

「患者さんに、まだ何も痛みの症状が出てないのに、メンテナンスで来院

してもらって大した施術もしないのに、お金を払ってもらうのは悪い気が

する。だから、自分は、メンテナンスでの来院は言いたくない」

 

 

という考えの方もいます。

 

このような心優しい院長の気持ちも分かります。

それでも、やはり患者さんのコメントにもあるように、多くの患者さんは

完治後も、少し不安な気持ちを抱えていて、

 

 

「また痛くなってから来るよりは、痛みが出る前に、予防として定期的に

来たい」

 

 

と言わば保険のような形で、治療院の役割を認識している人達もいます。

 

このような人達の不安を解消する為にも、院長は(予約を無理やり強制するのは、NGですが)、メンテナンスとして、最適な来院数の目安という

情報だけは、与えておくべきだと思います。

 

なぜなら、お客様は、何も基準を与えられないと自分で決めることができません。

対して、予め基準を提示してもらえば、それに対して自分で、いつ行く/

行かないの判断ができるようになるからです。