「治す」と「治る」の違い

 

 

 

「治す」と「治る」の違いについては、以前、私が治療院で、ある経験を

してから、深く考えるようになりました。ある経験とは私が、

 

 

「院長の奥様に、怒られた」

 

ことです。

 

ところで、私が院長の奥様に何と言われたかを説明する前に、改めて、

「治す」と「治る」の違いを考えてみましょう。

まず、「治す」ですが、これは主語が「院長」となります。つまり、院長が治す、お客様は院長に治してもらうで、お客様は受身の存在。対して

「治る」は、お客様が主語となり、この場合、院長は、お客様が自然治癒力を正常に働かせて、治る為のキッカケを作るという脇役になります。


では、なぜ、私が院長の奥様に怒られたのか?を、これから説明します。

そこの治療院では、パンフレットの文章作成の仕事をしました。

文章作成の過程で、院長にヒアリングを重ねる中、院長は、カイロプラクティックの技術に強いこだわりがあり、また、お客様の苦痛を、一刻でも

早く取り省きたいという想いも、非常に強いことを発見しました。

 

その為、パンフレットの文章では、院長の要望通り、

 

「治す」

 

「痛みを解消させる」

 

などの言葉を入れました。

 

 

ところが、後日、その文章を見た院長の奥様から、

 

「治す、痛みを解消させるなどの言葉を使うと、院長が一方的に、患者さんを治すだけの印象を相手にあたえてしまう。

けれども、現実には、院長がいくら頑張って施術をしても、その後、お客

様が乱れた食生活などを送れば、本当の意味で治癒することはない。

 

治すなどの言葉を使うと、一方的に院長が患者を治してあげると、相手に誤解される恐れがあるから、安易に治すなんて言葉を使わないでください!」

 

と怒られてしまいました。

 

もちろん、最初は、この言葉にショックを受けましたが、この出来事がキッカケとなり、「治す」と「治る」の違いについて、自分なりに考えるようになりました。

 

結果、分かったことは、お客様が「治る」為のキッカケは、院長の技術以外にも、たくさんあることです。

もちろん、技術は重要でないという意味ではありません。

ただ、あまりに技術のみにこだわると、他の重要なことが見えなくなってしまうことも事実です。

 

たとえば、ある整体院の院長は、施術以外にも、カウンセリングを重視していました。

カウンセリングと言えば、何やら本格的ですが、要は、お客様のグチや身の上話を真剣に聞くことです。

 

一見、お客様のグチを聞くことと施術は、何の関係もないような気がします。ところが、そこの院長は、お客様が家族にも言えないようなグチを院長に話してくれることで、ストレス解消となり、結果、施術効果も高まる

ことを理解していました。

つまり、お客様が「治る」為の方法の一つとして、熱心に相手の話を聞いていた訳です。

 

また、別のカイロプラクティック院の院長は、生活習慣の改善というアプローチから、お客様が治癒することを目指していました。

 

では、下記に具体的に説明しましょう。

そこの院長は、体調不良で来院したあるお客様に、どうも今、使っている

枕が合わないので、体の一部に痛みの症状が出ている気がすると言われた

そうです。

 

本来、カイロプラクティックの技術と、お客様が使用している枕は、何も

関係のないことです。

ところが、院長は、お客様に対して、

 

「それでは、後日、お客様が過去に使った枕全てを持ってきてください。

私が、どの枕が最適かを検査します」

 

と答えました。

そして、次回来院時に、お客様が持参した枕全てをチェックして、どの枕

が最適かをお伝えしました。

その後、お客様が、再度、その枕を使うようになって、お客様の体調不良

は治ったそうですが、私は、この話を聞いて感動してしまいました。

なぜなら、院長自身が、お客様が治癒する為のキッカケは、技術以外にも

あることを知っていたので、わざわざ、面倒な枕のチェックまで、進んで

行ったからです。

 

2つ、治療院での事例を挙げましたが、お客様が治る為の方法は、いくらで

もあることが、お分かり頂けたはずです。

今一度、治療院で、お客様が治る為には、何が出来るかを考えてみてください。