一貫性というブランド

 

 

 

この仕事を通して色々な治療院を見ていると、いつも、そこの治療院、院長の個性にあった「一貫性」について考えてしまいます。

本来、一貫性とは、そこの店舗の個性を表現する部分なので、カッコよくカタカナで言えば「ブランド」となるのでしょう。

ただし、どうも自分には、ブランドという言葉は、しっくりこないので、代わりに、一貫性という漢字を使います。

この方が、意味としては伝わりやすいはずです。

 

治療院という業種に限らず、仕事で一番難しいのは、自分自身を、まるで

他人のように、第三者の視点で客観的に見ることです。

なぜなら、いくら自分のことを冷静に見ようとしても、どうしても感情と

いう主観的な要素が入ってしまうので、私も含めて、ほとんどの人は、結局、偏ったフィルターで、自分を認識することになります。

 

以前、見かけた都内にある某接骨院では、看板の上に救急車のランプのように、点滅する赤ランプが付いていたのですが、なぜか隣の黒板には、

 

「マッサージが必要な方はお越しください」

 

という文章が書かれており、全くチグハグな外観でした。

 

ただし、私は、そこの院長を責める気にはなれません。

なぜなら、一貫性(ブランド)という視点で、自社を見つめることは、困難なことで、どれ位難しいかと言うと、世界一のコーヒーチェーンのスターバックスでさえ、間違えてしまう程だからです!

 

最近、スターバックスが犯した間違いとは何だか分かりますでしょうか?

それは、何と、スターバックスが「ドライブスルー」店舗の導入を始めたことです。

ところで、スターバックスが、正確にいつ頃から、ドライブスルー店舗の

導入を始めたのかは分かりません。

私が、初めてドライブスルー店舗を見つけたのは、約半年前で、仕事の途中で、北浦和駅周辺を歩いている時に、駅から少し離れた場所にあるスターバックスで、ドライブスルーとの表示を見つけました。

初めて、ドライブスルーのカタカナを見つけた時の衝撃は、今でも覚えています。

 

先日読んだ、日経流通新聞の記事にも、スターバックスは、13年3月までに

今の3倍の約30店のドライブスルー店舗の導入を予定しているとの記事がありました。

 

ところで、誤解のないように言っておきますが、ドライブスルーのアイデア自体は優れたものです。

たとえば、ファーストフード店のマクドナルドが、お客の時間を節約する

為に、ドライブスルー店舗を増やすことは、顧客満足の点からも歓迎すべきことです。つまり「時間を節約する」というマックのイメージに、ぴったり合致したサービスだからです。

問題は、スターバックスで、ドライブスルーを導入することです。

なぜなら、スターバックスは、マックとは真逆の

 

「家庭でも、会社でもない、第三の場所(サードプレイス)の提供」

 

というコンセプトを掲げています。

つまり、スタバでのドライブスルーは、時間を忘れて、一時のリラックスを得る場所というコンセプトと、逆のサービスになってしまいます。

更に問題を複雑にしているのは、表面的には、ドライブスルー店舗にすると、店の売り上げが増えることです。

先日の日経流通新聞にも、

 

「ドライブスルー店舗にすると、2〜3割の増収が見込める」

 

との記事がありました。

これ位、店の一貫性に沿ったサービスを提供することは難しいことなので

多くの治療院が、この点でミスをしてしまっても、ある意味、仕方がない

と言えます。

一貫性の点で、意外と堅実なのが、スターバックスのライバルである「ドトールコーヒー」です。

 

元々、ドトールコーヒーの創業者が、埼玉出身なので、私自身、どうしてもドトールを応援したくなる気持ちもあるのですが、先日、ある面白い場所に、ドトールは出店していましたが、それが、どこか分かりますか?

 

 

正解は、ガソリンスタンドで、なるほど、確かに、ここなら、ドトールの

 

「隙間時間の活用」

 

というコンセプトにも、ぴったりです。更に、手の込んだことに、ガソリンスタンドの看板には、

 

「ガソリンスタンドを、ご利用しないお客様も、ご自由にお入り下さい」

 

と書いてありました。これは、店の個性にも合致した一貫性のあるサービスです。

 

以上、一貫性の失敗例、成功例として、スターバックス、ドトールと、2つの事例を挙げてきました。

治療院の一貫性でも、スターバックスとドトールの例を参考に、もう一度

点検してもらえればと思います。