ユニクロと治療院(院長のこだわりについて)

 

 

 

 

技術に対するこだわりが強い院長の場合、そのこだわりが、治療院経営で

は、マイナスに作用しているように見える時もあります。

ただし、いきなり院長のこだわりのマイナス面を、ここで、色々と挙げても院長の中には、反発する方もいると思います。

 

そこで、最初は他業種のユニクロの例を挙げて説明していきましょう。

現在、ユニクロのロゴデザイン、経営戦略などは、元博報堂を経て独立したアートディレクターの佐藤可士和氏が担当しているのは有名な話です。

以前、たまたま購入した週刊東洋経済に、可士和氏のインタビューが掲載

されていましたが、院長の「こだわり」という面からも、興味深い内容で

した。

 

インタビュー内で、可士和氏は、ユニクロがニューヨークにグローバル旗艦店をオープンした時のエピソードについて触れていました。

最初に、可士和氏は、この旗艦店をオープンする上で、関係者全員の間に

共通のコンセプトを作成することが必要だと感じたそうです。そこで、

 

 

「美意識ある超合理性」

 

 

という言葉を作り出し、関係者全員に、このコンセプトでやっていくという意識を浸透させたそうです。

 

ただ、インタビューでおもしろかったのは、可士和氏が、

 

 

「美意識とは、ユニクロ社員や関係者の間に共有されていれば良い言葉

 だから、それをわざわざ、お客さんに言う必要はない」

 

 

と述べていた点です。

 

この言葉を見て、改めて、さすが一流の人間は分かっているなあと感じま

した。このエピソードで、院長は何か感じる点はないでしょうか?

 

たとえば、私がユニクロに服を買いにいって、いきなり店員に、

 

 

「私達は、美意識ある超合理性のコンセプトで働いています」

 

 

などと言われたら、私は、

 

 

「だからそれが何なの?」

 

となります。

 

たとえば、カイロ系の院長が、患者さんにいきなり、

 

 

「カイロプラクティックは、哲学、芸術であり、科学です。だから、

 整体とは違うのです」

 

などと言われても、患者さんは意味が分かりません。

 

ユニクロの例を挙げるまでもなく、私達は、こういうコンセプトでやって

いるという考え(こだわり)は重要だと思います。

ただし、それを、わざわざお客さんに言う必要はないし、いきなり言っても、お客さんは理解できないはずです。

これが、私が感じる院長のこだわりの見逃せないマイナス面です。

 

もちろん、このような院長のこだわりをHPに詳しく書くことは、別に問題ないです。なぜなら、治療院に行くことを検討している見込み客は、HPの中でも興味ある部分しか読まないからです。

院長のこだわりの部分に興味のない人は、その部分を無視するだけなので

HPに詳しく掲載するのは構いません。

 

また、何回か来院している患者様が、カイロプラクティックに興味を持って、院長に聞いてきた場合、こういうケースでは詳しく院長のこだわりを

話してもOKです。

なぜなら、このケースでは、患者様の方も、院長のこだわりを聞く姿勢が

できているので、むしろ患者さんを洗脳する?チャンスかもしれません。

ただ、いきなり患者さんに、院長のこだわりを言うのは、経営上、マイナスだと感じます。

それは、治療院に限らずユニクロなど、どんな業種でも共通しているはず

です。