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治療院と社会の変化
『治療院と社会の変化について』というテーマについては、特に強く思う点があります。 なぜなら、多くの院長達は客観的に見ても、非常に視野が狭いように感じるからです。また、その点が、現在、多くの治療院が経営で苦しんでいる 点とも関わりがあると思います。
たとえば、一番わかりやすい事例として、私はいつも院長達に、フリーペーパー『ぱど』の広告について説明します。 ぱどは、国内で発行されているフリーペーパーの中では一番発行部数が多いです。更に、一般人の認知度も100%に近いはずです。
そのぱどには、もちろん、治療院の広告は掲載されています。ただ、分類を見ると、整体、鍼灸、整骨、カイロ、慰安系と、分野を問わず、何と全て『リラクゼーション』という枠の中に掲載されています。 もちろん、各院長から見ると、整体と鍼灸、或いは、整骨と慰安がメインのマッサージ店は、全く種類が違います。 ところが、一般人の認識では、どれも全部『リラクゼーション』という枠で認識されてしまっているのです。
正直、私も、この分類が正しいとは思いませんが、残念ながら現実は、
『関係者が、どう思うか?』
でなく、
『一般人が、どう思うか?』
という点を、スタート地点にしないと何も始まりません。
なにしろ、この業界で普通に使われる『施術』という言葉自体も、一般人 は、まず使いません。 その為、一般人が、施術の意味で、マッサージ/リラクゼーションという 言葉を使うのも、仕方ないことです。
さて、ここで、冒頭で述べた『院長様達は、視野が狭い』というトピックに戻ります。 たとえば、院長達が、多くの人が手に取るぱどでは、施術系も含めて、全て、リラクゼーションの分類で定義されているという事実を認識している ならば、まだ良いです。 現実には、院長達は、誰も、このことを知らず、私が、ぱどの分類の話を すると、皆、とても驚かれます。
また、多くの院長達と話していると、たとえば、鍼灸院の院長様は、自分のライバルは、近くで営業しているB鍼灸院と、なぜか、別の鍼灸院しか 競合として認識していません。 これは、おかしな話で、逆の立場に立てば、治療院に行くことを考えているお客さんが、治療院の中から、鍼灸院しか選ばないなどということは、 まず、ないはずです。 普通は、カイロ、整体、マッサージ店など、全てひっくるめて考えますが 自分が院長として、治療院を経営する側になると、なぜか、こういう視点が無くなってくるようです。
治療院は、直接、人間を相手にしたお仕事です。そうであるならば、院長も社会の微妙な変化を認識することも、小手先の集客テクニックうんぬんの前に、必要になると思います。 なぜなら、院長が、あまりにも浮世離れをしていて、社会の変化に疎いようだと、お客様は、心理的な距離を感じるようになるし、それは、経営でも不利なことです。
では、社会の微妙な変化として、最近、私が驚いたことを下記に紹介します。以前、神田駅を歩いていた時に、カラオケ屋のチラシを受け取りました。カラオケ屋のチラシ自体、何も珍しくないですが、何と、そのチラシは、一人カラオケ専門店『ワンカラ』という名前の店でした。
カラオケ店なのに、一人専門という発想に驚いてしまいましたが、チラシを見ると、何と、秋葉原店、新宿店、池袋店の3店は、24時間営業!と書かれており、もっと驚いてしまいました。 つまり、一人専用カラオケ店でも、都心部では24時間営業する位、既に需要があるということです。 このような社会の変化は、町を歩いてチラシを見るだけでも分かりますが まさか、一人専門カラオケ店で24時間営業がスタートするなど、想像もできませんでした。
さて、ここまで読んだ院長は、
『別に、カラオケ店の24時間営業と、治療院は関係ないだろう』
と疑問が浮かんだはずです。 では、院長の疑問に答える為、次に、治療院経営でも、間接的に影響がありそうな、別の現象を紹介します。
以前、読んだ日経新聞に、居酒屋のワタミが、一部の店舗で、深夜の営業時間を短縮し、閉店時間を従来の朝の3:00から夜中の12:00に早めるとの 記事が載っていました。 理由は、人々が、2次会を開かずに帰る傾向が定着してきたこと、また、人々の生活スタイルも朝型にシフトしてきたからだと、記事には書いてあります。確かに、マックなどが、朝食メニューを強化、丸の内朝大学など サラリーマンが出勤前に学ぶことが増えているので、何となく理解できます。
このような社会の変化は、直接、治療院経営でも影響を及ぼします。 たとえば、治療院が都心部になるならば、思い切って、期間限定で、平日の営業時間を、朝10:00から7:00にしてみることもできます。もしかしたら、予想以上にお客さんが来るかもしれません。
このように、治療院経営は社会の微妙な変化と、無縁ではいられません。 院長達は、ぜひともこの点を覚えて頂きたいと思います。
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